「上に何かいる!」と2階にいた妻が天井を指さしてからかれこれ2ヶ月は経つだろうか。
始まりは年末、それが一発目の報告だった。
それからほぼ毎日、2階で音がしたと思えば1階の子供部屋からもわりと大きな音がした。
時にはくしゃみのような音がしたり、外で縄張り争いのようなキーキー音が聞こえたり。
明らかにねずみではない何かを引きずるような歩く音、また天井の軋み音。
決定打は庭の多くの石の上にあった南天が混じった比較的小さな黒い糞。
「多分イタチだろう」と判断した。
予備知識はないのでネットの画像検索や、検索にヒットしたサイト内容を複数見ての確信だ。
古くから住んでいる近所の人に聞いたところ、「屋根裏にイタチは我が家では聞いたことが無い」という意見が全てだった。
加えて「ネズミとか、大きくてもクマネズミはよく聞くのだが…」というご意見も。
今も柱等に生々しく残る、ねずみがかじったその痕跡。
両親の代まではねずみは不思議ではなかったのだが、イタチとなれば次元が違う。
しかも我が家は近所で一番山側にあり、さらにはポツンとした一軒家なので小動物が入りやすい環境下にあったのかもしれない。
余談だが、個人的にイタチは強烈に臭いイメージがあり、それは以前働いていた職場での実体験からそう言えるのだが、幸い今のところ我が家は「臭い」というレベルまで至っていない。
当時、職場の社長が「社長室に出入りしている小動物がいる」という理由で、唐揚げを餌に長方形の檻状の罠をしかけたことがあった。
翌日、自慢げに社長が持ってきたその罠には唐揚げにそそのかされた比較的大きなイタチがあわれな顔をし檻の中からこちらを見つめていた、という記憶が今も鮮明に脳裏に焼き付いている。
「仕事場にそんなの持ってくんなよ」と他の社員も多分思っていたことを脳裏に浮かべつつ、とにかく臭かったというその印象が、その後の自分の持つイタチのイメージのすべて、になったような感さえしている。
当時の社長は「近くの山に逃がしに行く」と言っていたが、臭いを車につけないためにどのような工夫を施したまでは残念ながら聞いていない。
もちろん殺処分は違法だし、逃がす以外に選択肢はないのだが、明らかにこの場合「捕まえても地獄」ということだ。
我が家に話を戻すと、とにかくイタチの侵入経路がわからない。
とりあえずはつきあいのあるJA担当者に聞いてみると、シロアリ駆除はやっているが小動物となると狩猟免許がいるらしく、今はイタチの駆除はやっていないという。
なので市役所に連絡し、業者を教えてもらいとり急ぎ見てもらうことにした。
500円玉くらいの穴があればイタチは入ってくるらしく、それらしい穴が4つ見つかった。
4つふさいでもらってしめて3万5000円ほどだった。
ちなみに初回の調査費は3000円。
気になるのは「家が古いので、大きなイタチは入れないがネズミが入る隙間はところどころに空いている」、と指摘されたこと。
確かに自分自身、昼間に屋根裏にあがってみたら漏れている光がところどころあったので、ある程度は腑に落ちた。
侵入口を塞いでもらったその日の夜、外でイタチの鳴き声が聞こえたと風呂に入っていた妻が2階にいた自分に電話をかけてきた。
自分は、「多分入りたくても入れないのでさぞ悔しがって泣いているのだろう」とタカをくくっていたのだが、数日たって屋根裏で「また音が聞こえた」と家族から聞いたときは正直とまどった。
どこから侵入したのだろうか。
そもそも今回はイタチじゃなくネズミではないのか。
と家族に話すと「ネズミだったらあんな音はしない」とのこと。
また同じ業者を呼んで見てもらう、という選択肢もあったが、以前よりは音がする回数があきらかに減っていること、そしてこれ以上業者に支払う余裕がないことが決定打になりすべては自分の裁量に。
小さな穴なんかは業者の言う通りまだいくらでもあることから、しばらく様子を見ようと決めた。
そもそもだが自分自身、不動産投資をはじめようと思っている割には自分の家に関してかなり無知なところがある。
もともと相続した家、という理由もあるが、庭が大きく木々の剪定という難易度の高い作業もあり、加えて春夏秋の定期的な草とり作業、また家族の介護や家事と相まって、なかなか家全体を管理できていない現状がある。
重度の自閉症を持つ子に精神的エネルギーが削がれることもしばしばで、なかなか気持ちの余裕が持てないことも、色んな事が「できない言い訳」のひとつになっている。
ただ「春先に子どもを産むとイタチは家から出ていかない」という業者からの脅し文句が、自分の胸に今も奥深く突き刺さっている。
さてどうしたものだろうか。

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